うなぎはどこに行ったか |
2012年8月19日NHK Eテレ 20:00~20:45のサイエンスZEROでも
同様の話題が取り上げれていたので紹介します。
上の写真はニホンウナギの卵です。
ニホンウナギは日本から海底山脈を目安に約2,500km回遊しグアム島の西の
海域(西マリアナ海嶺)で産卵することが2009年6月23日に判明した。
産卵は数十億個の単位で3mm以下の大きさであるがこれから回遊に便利な
形状のレプトセファレスになります。(上の写真)
レプトセファレスは北赤道を西進し、さらに黒潮に乗って日本に海域に進む
この頃の形態をシラスウナギと呼ばれる。
産卵から約半年かけてくるそうです。
シラスウナギはさらに日本の川の上流へとさかのぼっていきます。
上のグラフは日本で獲れたニホンウナギの量を1963年より示したものです。
激減していることが判ります。さあどこにうなぎは行ったのでしょうか。
ここで木村伸吾 東京大学海洋研究所教授が登場されます。
木村教授らの研究で産卵場所が年々南に移動していることが判明。
その原因が雨によって塩分フロントが出来るが雨の降る位置が最近の
気象変動で変化してきていると解析された。
海上に雨が降れば、その海域は塩分濃度が低くなります。ウナギはその塩分濃度
の低くなる境目(塩分フロント)を目印に産卵しているという解説もありました。
地球環境から見たらほんのわずかの移動であるがうなぎの生き残りからいうと
非常に重要な変化であると木村教授は言われる。
すなわち死滅回遊になる。
上の写真の赤のラインが従来の通常回遊ラインです。(産卵場所が北緯14度付近)
産卵場所が近年のように北緯13度付近に南下すると黄色のラインのように
黒潮の海流には乗れず黄色のラインのようにミンダナオ海流の流れに乗って
しまい死滅すことになる。=死滅回遊
ここで九州大学 大学院農学研究員の望岡典隆准教授が登場されます。
望岡典隆准教授は日本の川のどこにでもある堰がうなぎが川の上流に進めない
原因となっていると指摘されています。
シラスウナギは川の堰に設置された魚道を超えられないそうです。
(アユのように遊泳力のある魚は大丈夫だが遊泳力のないうなぎは魚道を通過
できず肉食魚のすずきた鳥などの餌食になってしまうそうです)
さらに川がコンクリート製の人工護岸だと甲殻類や魚類の生息量が自然堤防
より減少すつデータを示され人工護岸であってもあしなどを植える工夫を
することで自然護岸に近づけることが必要であると解説された。
ここから話題が変わりうなぎの人工完全養殖の話になります。
2010年4月8日のNHKニュースでうなぎの完全養殖世界で初めて成功の報道が
紹介されます。
完全養殖に成功したのは独立行政法人 水産研究センター 三重県渡会郡の
グループです。
2年後に、完全養殖されたうなぎ元気に成長している姿が紹介されていました。
(下の写真)
さらに水産研究センターでの苦労話と成果が披露されました。
水産総合研究センター ウナギ量産グループの田中秀樹グループ長の登場です。
いろいろエサの候補を探索した。サメの卵がエサになることが解ったものの
ウナギの大量養殖にはむかないことが判明。
槽の中間で浮遊するエサを開発する必要がある。
最近の研究成果でウナギの食べ物がオタマボヤから生成されるハウスとマリンスノー
であることが解った。これでうなぎの大量養殖技術のさらなる進展が期待されている。
オタマボヤはクラゲに似ていますが、脊索動物です。
オタマボヤはプランクトンを食べていますが、その残り滓をハウス、泡巣と呼ばれる
袋に詰めて、放出します。このハウスはやがて破れて、マリンスノーとなり、
ウナギの稚魚はこれを食べているというのです。
本日の解説者の東京大学大気海洋研究所教授、塚本勝巳氏はしめくくり言葉として
ウナギは人間が生まれるよりずった以前から生息していた生物(深海魚)です
(数千万年前、恐竜がいた時代に生息)世界で一番たくさんウナギを消費している
日本は今後も研究を重ね絶滅させないようにしなければならないと述べられました。