神戸の追儺式 |
追儺式は大晦日や正月に修正会(しゅしょうえ)の一部として行われる行事です。
追儺(ついな)は「おにやらい(鬼遣)」とも読み、良鬼が儺(疫鬼)を払い疫病を除く
儀式で、平安の昔より伝わる伝統奉納行事です。
東大寺二月堂のお水とりでは追儺式の呼び名ではなく、修二会と呼ばれ有名な行事
として知られている。
追儺式(追儺会)の呼び名は他にも鬼追い(鬼追会)、鬼やらい(鬼遣)、鬼踊りなどと
呼ばれています。
神戸では下記の9つの場所で実施されています。右記は2012年の実施月日です。
近江寺を除き8箇所の追儺式を観てきました。小生が書いたBlogを中心に纏めました。
尚、兵庫県内の追儺式行事をまとめたサイトがありますのでリンクさせていただきます。
http://kobe-mari.maxs.jp/shrine_temple/tuinashiki.htm
1.妙法寺 2012-1-3
2.明王寺 2012-1-4
3.転法輪寺 2012-1-4
4.多聞寺 2012-1-5
5.太山寺 2012-1-7
6.勝福寺 2012-1-7
7.性海寺 2012-1-9
8.長田神社 2012-2-3
9.近江寺 2012-2-11
1.妙法寺の追儺式
住所:神戸市須磨区妙法寺字毘沙門山1286 TEL:078-741-2935
山号:如意山 宗派:真言宗 本尊:毘沙門天
妙法寺の追儺式では五穀豊穣をもたらす鬼が小鬼を連れて妙法寺から
伊勢神宮にお伊勢参りに行く様子を表現しているストーリになっています。
登場するのは三匹の白鬼と2匹の子供の赤鬼、家来である黒鬼5匹の合計
10匹で、白鬼は赤鬼と黒鬼を従えて、お伊勢参りの旅をします。
鬼面は毘沙門天の化身だと言われる。

紹介記事1 2009年の追儺式
紹介記事2 2012年の追儺式
紹介記事3 平清盛ゆかりの寺
2.明王寺の追儺式
住所:神戸市垂水区名谷町1900 TEL:078-707-0163
山号:龍華山(りゅうげざん) 宗派:真言宗 本尊:不動明王
明王寺の追儺式は子供の鬼が登場したあと3匹の親鬼が松明(たいまつ)と
斧・槌・鉾をそれぞれ持って踊り、それらを拝観者の頭にあてて厄払いして、
最後に餅を撒きます。コンパクトにまとめられた儀式となっています。
鬼面は不動明王の化身だと言われる。

紹介記事1 明王寺の追儺式 on 2012-1-4
紹介記事2 明王寺の紹介
3.転法輪寺の追儺式
住所:兵庫県神戸市垂水区名谷町2089 TEL:078-791-7885
山号:龍華山 宗派:真言宗 本尊:阿弥陀如来坐像(明治34年8月2日 重要文化財に指定)
転法輪寺の追儺式では赤のふんどしの太郎鬼(八幡)と黄色のふんどしの次郎鬼(春日)と
青色のふんどしのババ鬼(天照皇太神)であり夫々が手に持つ斧、槌、槍で
参拝者の頭をなでます。また、4匹の小鬼によっても鬼を追い払います。
五穀豊穣や招福を祈る鬼踊りである追儺式は現在の節分の豆まきの始まりと
なる行事であったと伝えられています。
上記の儺払いの式が終わると餅まきが始まりさらに七草粥が振舞われます。

紹介記事1 転法輪寺の追儺式
紹介記事2 龍華山 転法輪寺
4.多聞寺の追儺式
住所:神戸市垂水区多聞台2-2-75 TEL:078-782-4445
山号:吉祥山 宗派:天台宗 本尊:毘沙門天
多聞寺の追儺式では3匹の鬼が毘沙門天の化身の面をつけて舞いを披露します。
3匹の鬼は夫々 斧、槌、鉾を持って舞います。

追儺式での鬼の所作と付随行動の意味は下記のとおりです。
1)松明(たいまつ)を振り反閇(へんぱい)を踏む
松明の呪力で災難を除く(悪魔を払う)、農耕(豊作)の予祝として大地を清め蘇らせる
2)法螺貝を吹き、太鼓をたたく
乱声に通じ、悪を払う
3)餅切り
五穀豊穣の予祝
4)トンド
穢(けがれ)を落とし清める
紹介記事 多聞寺の追儺式 on 2012-1-5
5.太山寺の追儺式
住所:神戸市北区伊川谷町前開224 TEL:078-976-6658
山号:三身山 宗派:天台宗 本尊:薬師如来と十一面観音
太山寺の追儺式は本堂の外陣で行われます。
太郎鬼、次郎鬼、婆々鬼の三つ鬼の舞とその幕間に子鬼の舞があります。
鬼の舞には走り鬼の舞もあります。

紹介記事 太山寺の追儺式 on 2012-1-7
太山寺の紹介記事1(太山寺の木造阿弥陀如来坐像)
太山寺の紹介記事2(2007-11-10訪問記)
太山寺の紹介記事3(太山寺 安養院庭園)
6.勝福寺の追儺式
住所:神戸市須磨区大手町9-1-1 TEL:078-731-1253 代表者 高橋紹之氏
山号:桂尾山 宗派:真言宗高野派高野山如意輪寺末 本尊:聖観音菩薩
勝福寺の追儺式は証楽上人が鹿松峠附近で鬼退治をしたときの
鬼退治の踊りと伝えられている。
勝福寺の追儺式 式次第
トンド火付け 住職法楽後本堂にタイマツを受け取り火をつける
赤鬼・白鬼2匹が山門に住職先導門松を取りにいく
赤鬼太郎が青カシを白鬼次郎が赤ホソを持ちトンド火口に運ぶ
赤ホソを下に、青カシを上に x印に組み焚く
鬼おどり
1回 赤鬼が斧、白鬼が槌を
2回 子鬼4匹が火振り
3回 子鬼4匹 カッタリコ
4回 赤鬼が斧、白鬼が槌を 青鬼 鬼おどり
5回 子鬼4匹 カッタリコ
6回 赤鬼が斧、白鬼が槌を 青鬼、黒鬼、天狗
7回 子鬼4匹 カッタリコ
8回 赤鬼が斧、白鬼が槌を 青鬼、黒鬼、天狗 鬼おどり
9回 子鬼4匹が餅切り盆を持ってくる
10回 餅切り 赤鬼が斧、白鬼が槌を 他の鬼は舞台外で待つ
11回 くじ引き 赤鬼、白鬼、青鬼

勝福寺の追儺式 on 2012-1-7紹介記事
勝福寺の紹介
7.性海寺の追儺式
住所:神戸市西区押部谷町高和1318 TEL:078-994-0067
山号:高和山 宗派:真言宗 本尊:如意輪観世音菩薩
性海寺の追儺式は修正会を前面に出しています。
徳川家光から慶安元年(1648)朱印を下賜され、寺は再興された。
同時に天下泰平、国家安穏の修正会、追儺式を命ぜられ、その行事は
現在も継承されている。
式次第は下記のとおり。
2012年1月9日(月)成人の日 (毎年成人の日に実施されるそうです)
1:00~ 法要
1:50頃 1回目踊り
2:20頃 餅撒き
2:25頃 2回目踊り
2:40頃 餅撒き
2:45頃 3回目踊り
3:10頃 もちまき

性海寺(しょうかいじ)の修正会 on 2012-1-9
性海寺の紹介
8.長田神社の追儺式
住所:神戸市長田区長田町3丁目1-1 TEL:078-691-0333
祭神:事代主尊(ことしろぬしのみこと)
長田神社の追儺式は全国的にも有名で、室町時代から伝わる伝統行事です。
2月3日の節分に、人々の健康と厄除けを願う神事として七匹の“鬼”が参拝者の前で
舞を披露します。長田神社の鬼は神の使いとされ、庶民を災いから救ってくれます。

長田神社の追儺式の紹介
長田神社の紹介 in 2009-1-13 その1
長田神社の紹介 in 2009-1-13 その2
長田神社の紹介 in 2009-1-13 その3
江戸時代の長田神社
近江寺については追儺式に行ったことがないので来年度には是非追儺式を見て
写真を紹介したいと思っています。
近江寺の訪問記のみにリンクしておきます。
近江寺訪問記 on 2011-5-9
正月の修正会は大寺院で行われて行事で鬼追いの行事が行われる訳であるが
鬼は新年(春)迎えの行事に現われる(この時毘沙門天(赤鬼)と不動明王(青鬼)も
現われる)鬼である。
鬼は疫鬼(悪鬼)を退治する行事であり、鬼自身は良い鬼であると解釈されています。
すなわち、鬼自身が疫病などを流行らせる疫鬼・悪鬼を退散させる行事と位置づけ
られている。
節分での鬼の行事は、上記のように神戸では長田神社で行われています。
近畿圏では興福寺、法隆寺、京都・吉田神社、大阪八尾天満宮などが
有名である