テレビ朝日 奇跡の地球物語 別府温泉地球エネルギーの恵みを視聴して |
別府温泉地球エネルギーの恵みをビデオで視聴しました。
また、3月23日(金)日経新聞の朝刊一面に福島に最大の地熱発電の記事が
報じられました(下の記事)。これらを機に地熱発電について調べてみました。
まず、上記のテレビ朝日の番組の内容から紹介します。
別府の温泉湧出量は約5万トン/日、源泉数は約3000で共に日本一の資源量を
誇っています。別府温泉の紹介が前半であった。
後半で、京都大学 地球熱学研究施設の大沢 信二 教授より地熱発電の将来性が
有望であるという解説があった。
1980年から地熱発電を操業している観音寺温泉にある杉乃井ホテルの施設の
地熱発電の仕組みについて杉乃井ホテル 地熱発電所の塚崎 賢治所長から
解説・説明がありました。(下のパネル)
地下の熱水/蒸気混合物を気水分離器で蒸気を取り出します。
蒸気の力でタービンを回し発電します。1,700KWの出力、一般家庭4,300軒分。
気水分離された水は復水機、冷却塔を通して再利用されます。
上の写真は実際のプラントの写真。
さらに進化した地熱発電システムについてターボブレード の林 正基社長の紹介
があった。現状の温泉井戸からの熱を利用して発電しようとするものである。
2012年3月に試運転後、本格的な稼働を目指すという。
有限会社 ターボブレードの会社紹介HP
湯煙発電=湯けむり発電の実験の様子(2012-3-25)
日刊工業新聞(2012-1-20電子版)で下記のように紹介されています。
ターボブレード(大分市、林正基社長、097・574・6071)は、温泉の熱水と蒸気を利用した
発電装置の開発に乗り出した。源泉を持つ宿泊施設の電源や売電事業に利用する。
7月から始まる再生可能エネルギーの全量買い取り制度に対応して、
出力100キロワット装置を開発。2012年度の実証試験を経て、13年度の事業化を目指す。
地熱発電の現状についてWikipediaより引用させていただきます。
原文はこちら
1.日本における地熱発電の歴史
日本では1919年(大正8年)に帝国海軍中将・男爵山内万寿治が、軍人として
国のエネルギー安全保障に興味を示し、大分県別府で地熱用噴気孔の掘削に
成功した。
これを引き継いだ東京電灯研究所長・太刀川平治が1925年(大正14年)に
出力1.12kWの実験発電に成功したのが最初の地熱発電とされる[23]。
しかし、微力だったことから、山内の死後程なくして地熱発電の実用は
立ち消えとなった。実用地熱発電所は岩手県八幡平市の松川地熱発電所
(日本重化学工業株式会社)が1966年(昭和41年)10月8日に営業運転を
開始したのが最初である。
2.地熱発電の方式には下記の3方式がある。
1)ドライスチーム
簡単な水分除去のみでタービンを回す方式
日本での実施例に松川地熱発電所や八丈島発電所などがある。
2)フラッシュサイクル
現在主流の方式で本格的な汽水分離で分離された蒸気でタービンを回す。
三菱重工が納入した八丁原発電所(ダブルフラッシュサイクル)11万Kw
3)バイナリーサイクル
熱水しか得られない場合でも、アンモニアやペンタン・フロンなど水よりも
低沸点の媒体(これを低沸点流体という)を、熱水で沸騰させタービンを回して発電
3.現在の日本の地熱発電所
都道県 発電所名 発電会社 容量(kW)
北海道 森発電所 北海道電力 50,000
岩手県 松川地熱発電所† 東北水力地熱 23,500
岩手県 葛根田地熱発電所 東北電力 80,000
宮城県 鬼首地熱発電所 電源開発 15,000
秋田県 大沼地熱発電所† 三菱マテリアル 9,500
秋田県 澄川地熱発電所 東北電力 50,000
秋田県 上の岱地熱発電所 東北電力 28,800
福島県 柳津西山地熱発電所 東北電力 65,000
東京都 八丈島地熱・風力発電所 東京電力 3,300
熊本県 岳の湯発電所† 廣瀬商事 50
大分県 大岳発電所 九州電力 12,500
大分県 八丁原発電所 九州電力 112,000
大分県 杉乃井地熱発電所† 杉乃井ホテル 1,900
大分県 滝上発電所 九州電力 27,500
大分県 九重地熱発電所† 九重観光ホテル 1,000
鹿児島県 霧島国際ホテル地熱発電所† 大和紡観光 200
鹿児島県 大霧発電所 九州電力 30,000
鹿児島県 山川発電所 九州電力 30,000
合計 539,700
合計 約54万Kw(540Mw)
(†印が付されたものは自家用発電所)
4.世界の地熱発電
国名 地熱発電容量計(MW) 総電力設備容量(MW) 地熱発電割合(%)
アメリカ合衆国 2,534.1 1,031,692 0.2
フィリピン 1,930.8 13,434 14.4
メキシコ 953.0 43,536 2.2
インドネシア 797.0 24,706 3.2
イタリア 790.5 78,249 1.0
日本 535.0 272,701 0.2
ニュージーランド 435.5 8,555 5.1
アイスランド 172.1 1,510 11.4
コスタリカ 162.5 1,715 9.5
エルサルバドル 151.0 1,133 13.3
ケニア 127.0 1,129 11.2
ロシア 79.0 216,000 0.0
ニカラグア 77.5 641 12.2
グアテマラ 33 1,697 1.9
中国 28.8 391,408 0.0
データは社団法人 火力原子力発電技術協会『地熱発電の現状と動向』2007年版から引用
アイスランドの地熱発電量はもっと大きな数値と思ったがそのままとした。
2012年3月23日の日経新聞の記事について再度要約する。
「出光興産、国際石油開発帝石、三菱マテリアルなどは福島県内で国内最大の
地熱発電所を建設する方針を固めた。
環境省が地熱開発について国立・国定公園内での掘削を条件付きで認める
規制緩和を実施するのを受けたもので、新設は1999年以来。
2020年ごろの稼働を目指す。発電容量は27万キロワットになる見通しで、
原子力発電プラント4分の1基分に相当する。
総事業費は1千億円規模になるとみられる」
地熱発電設置の候補地は磐梯・吾妻地域。
27万Kwというと現在稼動の地熱発電総量が54万Kwであるから非常に大規模な
発電所であることが判る。
国内で地熱発電を手がけるメーカーは三菱重工、富士電機、東芝の3社で70%を占める。
地熱発電のコストは9.2円~11.6円
出典はhttp://www.aec.go.jp/jicst/NC/tyoki/sakutei/siryo/sakutei10/siryo2-2-3.pdf
参考サイト(小生のBlog)
電源別発電コスト
サイエンスZERO 海の風を集めろ「実用化目指す新型風車」を視聴して