iPS細胞に関する特許 山中伸弥教授発明で京大出願の日本で成立の特許 |
京都大学iPS細胞研究所(山中伸弥所長)は2013年12月20日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の基本技術に関する日本での特許が、新たに1件成立したと発表した。京大はiPS細胞基本特許を国内ですでに5件成立させており今回の特許で6件目である。
新聞各社が報道されているが、過去に出願されたiPS細胞関連の特許について包括的に且つ平易に解説された記事となっていないため本ブログでまとめることとした。
新聞報道の例として朝日新聞の報道例をあげておく。
http://seiyo39.blog.eonet.jp/default/2013/12/post-ad86.html
iPS細胞作りの特許について、京都大学は2005年に国内出願した(2005-12-13 特願2005-359537)後、06年12月に国際出願(2006-12-6 PCT/JP2006/324881)した。PCT出願の国内移行の特許は特願2007-550210(2008-5-20)で出願されています。
特許の優先日は2005年12月13日となります。成立した特許の有効期限はPCT出願日の2006年12月6日から20年の2026年12月6日までです。
その後、国内特許を早く成立させるため、国際特許出願の一部を分割して、特許庁に出願している特許登録となった日付の順番に特許要項と内容を記載していきます。
(1)特願2008-131577、特開2008-283972 (平20.11.27)、特許4183742(2008-9-12登録)
4遺伝子を使ったiPS細胞作製法
【分割の表示】特願2007-550210(P2007-550210)の分割
【発明の名称】誘導多能性幹細胞の製造方法
【請求項1】
体細胞から誘導多能性幹細胞を製造する方法であって、下記の4種の遺伝子:Oct3/4、Klf4、c-Myc、及びSox2を体細胞に導入する工程を含む方法。
(2)特願2009-056747、特開2009-165478 (平21.7.30)、特許4411362(2009-11-20登録)
【分割の表示】特願2007-550210(P2007-550210)の分割
【発明の名称】誘導多能性幹細胞の製造方法
【請求項1】
Oct3/4、Klf4及びSox2の3種の遺伝子が導入された体細胞を塩基性線維芽細胞増殖因子の存在下で培養する工程を含む、誘導多能性幹細胞の製造方法。
注)人間の場合、ヒト繊維芽細胞はリプログラム元細胞である。マウスの場合、マウス胎児繊維芽細胞(MEF)とマウス成体繊維芽細胞(TIF)
【請求項2】
体細胞がヒト細胞である、請求項1記載の方法。
(3)特願2009-056750、特開2009-165481 (平21.7.30)、特許4411363(2009-11-20登録)
【分割の表示】特願2007-550210(P2007-550210)の分割
【発明の名称】誘導多能性幹細胞からの体細胞の製造方法
【請求項1】
下記の工程(1)および(2):
(1) Oct3/4、Klf4、c-Myc及びSox2の4種の遺伝子を体細胞に導入することにより誘導多能性幹細胞を得る工程、及び
(2)上記工程(1)で得られた誘導多能性幹細胞を分化誘導する工程、
を含む、体細胞の製造方法。
【請求項2】
下記の工程(1)および(2):
(1) Oct3/4、Klf4及びSox2の3種の遺伝子が導入された体細胞を塩基性線維芽細胞増殖因子の存在下で培養することにより誘導多能性幹細胞を得る工程、及び
(2)上記工程(1)で得られた誘導多能性幹細胞を分化誘導する工程、
を含む、体細胞の製造方法。
【請求項3】
体細胞がヒト細胞である、請求項1又は2記載の方法。
(4)特願2007-550210、WO2007/069666、特許5098028(2012-10-5登録)
【発明の名称】核初期化因子
【請求項1】 4遺伝子
下記の(1)、(2)、(3)および(4)の遺伝子:
(1)Oct3/4遺伝子、
(2)Klf2遺伝子およびKlf4遺伝子から選択される遺伝子、
(3)c-Myc遺伝子、N-Myc遺伝子、L-Myc遺伝子およびc-Myc遺伝子の変異体であるT58A遺伝子から選択される遺伝子、および
(4)Sox1遺伝子、Sox2遺伝子、Sox3遺伝子、Sox15遺伝子およびSox17遺伝子から選択される遺伝子、
を体細胞に導入する工程を含む、誘導多能性幹細胞の製造方法であって、初期化される体細胞において前記遺伝子のいずれかが発現している場合には、該遺伝子は導入する遺伝子から除かれていてもよい、前記製造方法(ただし、Oct3/4遺伝子、Klf4遺伝子、c-Myc遺伝子およびSox2遺伝子を体細胞に導入する場合を除く)。
【請求項2】 3遺伝子
下記の(1)、(2)および(3)の遺伝子:
(1)Oct3/4遺伝子、
(2)Klf2遺伝子およびKlf4遺伝子から選択される遺伝子、および
(3)Sox1遺伝子、Sox2遺伝子、Sox3遺伝子、Sox15遺伝子およびSox17遺伝子から選択される遺伝子、が導入された体細胞を塩基性線維芽細胞増殖因子の存在下で培養する工程を含む、誘導多能性幹細胞の製造方法であって、初期化される体細胞において前記遺伝子のいずれかが発現している場合には、該遺伝子は導入されていなくてもよい、前記製造方法(ただし、Oct3/4遺伝子、Klf4遺伝子およびSox2遺伝子が導入された体細胞は前記体細胞から除かれる)。
【請求項3】
下記の工程(1)および(2):
(1)請求項1記載の製造方法により誘導多能性幹細胞を得る工程、及び
(2)上記工程(1)で得られた誘導多能性幹細胞を分化誘導する工程、
を含む、体細胞の製造方法。
【請求項4】
下記の工程(1)および(2):
(1)請求項2記載の製造方法により誘導多能性幹細胞を得る工程、及び
(2)上記工程(1)で得られた誘導多能性幹細胞を分化誘導する工程、
を含む、体細胞の製造方法。
【請求項5】
体細胞がヒト細胞である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
(5)特願2009-056748、特開2009-165479 (平21.7.30)、特許5248371(2013-4-19登録)
査定不服審判 2010-010920 請求日(平22.5.21) 審判(判定含む) 請求成立 最終処分日(平25.3.19)
【分割の表示】特願2007-550210(P2007-550210)の分割
【発明の名称】誘導多能性幹細胞を製造するための核初期化因子の使用
【請求項1】
塩基性線維芽細胞増殖因子の存在下で、体細胞から誘導多能性幹細胞を製造するための、Oct3/4、Klf4およびSox2の3種の遺伝子、またはそれらの遺伝子産物の使用。
【請求項2】
体細胞から誘導多能性幹細胞を製造するための、Oct3/4、Klf4、c-MycおよびSox2の4種の遺伝子、またはそれらの遺伝子産物の使用。
【請求項3】
Oct3/4、Klf4およびSox2の3種の遺伝子、またはそれらの遺伝子産物を成分として含む、体細胞から誘導多能性幹細胞へ、塩基性線維芽細胞増殖因子の存在下で培養して誘導するための、誘導剤。
【請求項4】
Oct3/4、Klf4、c-MycおよびSox2の4種の遺伝子、またはそれらの遺伝子産物を成分として含む、体細胞から誘導多能性幹細胞への誘導剤。
【請求項5】
上記成分を構成する遺伝子が1以上のベクターに導入されている、請求項3または4記載の誘導剤。
注)一般的にはレトロウィルスベクター(ヒト細胞へはレンチウィルスでレトロウィルスセプターを導入。導入後レトロウィルスベクターで遺伝子導入)
(6)特願2009-056749、特開2009-165480
今回新聞記事で話題となっているものです
査定不服審判 2010-002401 請求日(平22.2.4) 審判(判定含む) 請求成立 最終処分日(平25.11.12)
【分割の表示】特願2007-550210(P2007-550210)の分割
【発明の名称】誘導多能性幹細胞およびその製造方法
請求項の内容について包袋をとりよせて補正や意見書の内容を確認していませんので登録特許で記載内容が変わる可能性があることに留意
【請求項1】
以下の(1)~(3)の特徴を有する誘導多能性幹細胞:
(1)体細胞由来である、
(2)生殖細胞および胚性幹(ES)細胞を用いることなく得ることができる、
(3)分化多能性および増殖能を有する。
【請求項2】
体細胞がヒト細胞である、請求項1記載の誘導多能性幹細胞。
【請求項3】
内在性のOct3/4遺伝子及びNanog遺伝子を発現する、請求項1または2記載の誘導多能性幹細胞。
【請求項4】
Oct3/4、Klf4、c-Myc及びSox2の4種の遺伝子又はOct3/4、Klf4及びSox2の3種の遺伝子を体細胞に導入することにより得ることができる、請求項1~3のいずれか1項記載の誘導多能性幹細胞。
【請求項5】
ES細胞と類似した、Nanog遺伝子又はFbx15遺伝子におけるDNA脱メチル化を示す、請求項1~4のいずれか1項記載の誘導多能性幹細胞。
注)マーカー・識別で遺伝子操作法について言及
【請求項6】
以下の(1)~(4)の工程を含む、誘導多能性幹細胞の製造方法:
(1)初期化を誘導する遺伝子を体細胞に導入する工程、
(2)工程(1)で得られた細胞を培地中で培養し、Nanog遺伝子又はFbx15遺伝子のメチル化の程度が減少した細胞を生成させる工程、
(3)工程(2)で生成した細胞のうち、ES細胞様の形態を示す細胞を選別する工程、
(4)工程(3)で選別した細胞を培地中でさらに培養する工程。
【請求項7】
以下の(1)~(4)の工程を含む、誘導多能性幹細胞の製造方法:
(1)初期化を誘導する遺伝子を体細胞に導入する工程、
(2)工程(1)で得られた細胞を培地中で培養し、内在性のOct3/4遺伝子及びNanog遺伝子を発現する細胞を生成させる工程、
(3)工程(2)で生成した細胞のうち、ES細胞様の形態を示す細胞を選別する工程、
(4)工程(3)で選別した細胞を培地中でさらに培養する工程。
【請求項8】
体細胞に導入する遺伝子が、以下の24種類の遺伝子:
ECAT1、ESG1、Fbx15、Nanog、ERas、ECAT7、ECAT8、Gdf3、Sox15、ECAT15-1、ECAT15-2、Fthl17、Sall4、Oct3/4、Sox2、Rex1、Utf1、Tcl1、Stella、Klf4、β-catenin、c-Myc、Stat3、Grb2
から選択される少なくとも1つまたはそれ以上の遺伝子である、請求項6または7記載の製造方法。
【請求項9】
体細胞に導入する遺伝子が、以下の24種類の遺伝子:
ECAT1、ESG1、Fbx15、Nanog、ERas、ECAT7、ECAT8、Gdf3、Sox15、ECAT15-1、ECAT15-2、Fthl17、Sall4、Oct3/4、Sox2、Rex1、Utf1、Tcl1、Stella、Klf4、β-catenin、c-Myc、Stat3、Grb2
から選択される少なくとも2つ又はそれ以上の遺伝子である、請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
体細胞に導入する遺伝子が、以下の24種類の遺伝子:
ECAT1、ESG1、Fbx15、Nanog、ERas、ECAT7、ECAT8、Gdf3、Sox15、ECAT15-1、ECAT15-2、Fthl17、Sall4、Oct3/4、Sox2、Rex1、Utf1、Tcl1、Stella、Klf4、β-catenin、c-Myc、Stat3、Grb2
から選択される少なくとも3つ又はそれ以上の遺伝子である、請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
体細胞に導入する遺伝子が、以下の10種類の遺伝子:
Fbx15、Nanog、ERas、ECAT15-2、Oct3/4、Sox2、Tcl1、Klf4、β-catenin、c-Myc
から選択される少なくとも1つ又はそれ以上の遺伝子である、請求項8記載の製造方法。
【請求項12】
体細胞に導入する遺伝子が、以下の10種類の遺伝子:
Fbx15、Nanog、ERas、ECAT15-2、Oct3/4、Sox2、Tcl1、Klf4、β-catenin、c-Myc
から選択される少なくとも2つ又はそれ以上の遺伝子である、請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
体細胞に導入する遺伝子が、以下の10種類の遺伝子:
Fbx15、Nanog、ERas、ECAT15-2、Oct3/4、Sox2、Tcl1、Klf4、β-catenin、c-Myc
から選択される少なくとも3つ又はそれ以上の遺伝子である、請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
体細胞に導入する遺伝子が、以下の4種類の遺伝子:
Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc
から選択される少なくとも1つ又はそれ以上の遺伝子である、請求項11記載の製造方法。
【請求項15】
体細胞に導入する遺伝子が、以下の4種類の遺伝子:
Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc
から選択される少なくとも2つ又はそれ以上の遺伝子である、請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
体細胞に導入する遺伝子が、以下の4種類の遺伝子:
Oct3/4、Sox2、Klf4、c-Myc
から選択される少なくとも3つ又はそれ以上の遺伝子である、請求項15記載の製造方法。
【請求項17】
ES細胞様の形態を示す細胞の選別を目視により行うことを特徴とする、請求項6~16のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項18】
ES細胞様の形態を示す細胞の選別を体細胞が有するマーカー遺伝子の発現を指標として行うものであり、かつ、当該マーカー遺伝子が、
ES細胞特異的発現遺伝子の発現調節領域により発現調節を受ける位置に存在している、請求項6~16のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項19】
マーカー遺伝子が薬剤耐性遺伝子または蛍光タンパク質遺伝子である、請求項18記載の製造方法。
【請求項20】
請求項6~19のいずれか1項記載の製造方法により得ることができる、誘導多能性幹細胞。
【解決手段】体細胞の核初期化因子であって、下記の3種類の遺伝子:Octファミリー遺伝子、Klfファミリー遺伝子、及びMycファミリー遺伝子の各遺伝子産物を含む因子、体細胞由来であり、生殖細胞および胚性幹(ES)細胞を用いることなく得ることができ、分化多能性および増殖能を有する誘導多能性幹細胞、ならびにその製造方法。
(1)から5(5)の成立特許では製造方法に関してであったが今回成立の特許は製法だけでなくiPS細胞そのものについても権利化されたことが大きい。

















