村上帝社 |
田辺眞人著 伝説の須磨のPage30、31より琵琶塚の伝説について要約引用する。
今から800年ほど前、京の都に太政大臣藤原師長(もろなが)という琵琶の名人が
いました。彼はもっと上手になることを願い唐の国に行って勉強しようと考えました。
藤原師長が使用していた琵琶は「獅子丸」と呼ばれる立派なものでした。
藤原師長がそれを持って京より須磨へやってきた時あたりはもう暗くなってある漁師の
家にとめてもらうことになりました。
その夜、漁師の夫婦にたのまれ藤原師長が琵琶を弾いていると老夫婦の姿がぼおっと揺れ
たちまち別の人の姿に変わってしまいました。
それは200年ほど昔にいた村上天皇と梨壺女御(なしつぼのにょご)のお姿でした。
2人は「師長、そなたにすばらしい琵琶の腕前をあげよう。その代わりに唐の国に行くのは
やめて、ここから都に帰りなさい」と言いました。
藤原師長は驚いているうちに2人は消え、また藤原師長が琵琶を弾いてみると自分でも
驚くぐらい自分の腕前があがっていました。
藤原師長は自分の腕前に満足し「獅子丸」をこの地に埋めここから京の都に帰って行った
ということです。
西須磨の村人はその漁師の家のあとに村上天皇を祀る小さな神社を建てました。